逮捕されそうになった話

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11月某日その1

天国で常世の春を謳歌していたのに、この世という地獄に強制送還されて、もう大泣きしながら誕生して135年目ぐらいの誕生日が到来した。

ぜんぜん嬉しくも目出たくもないのだけど、何かしらプレゼントされるのではという淡く儚い希望を胸にその日を迎えるも、嫁に「味噌汁作ってやった」という塩とかいろいろ控えめなものを頂く。減塩味噌だけど涙に相殺されてた。

そんな中、一番下の娘が気を遣ってシャボン玉がうまくできるというストローをくれた。

ジョジョならば波紋を流し込んで作ったシャボン玉を武器にしてたけど、普通のシャボン玉なんて期待とか夢と同じで大きく膨らんでもすぐにパチンと弾けて消えるだけの儚いものなのに。小学生にして何かしら裏メッセージが籠ったプレゼントなのか流石は我が娘と感心するも、何にも用意してなかったから急遽適当にくれたものだと判明して味噌汁の塩加減が更に増した。

11月某日その2

同月同日。

スーパーのバイトに(誕生日なのに)行く。

ちょうど何かしら影を纏った影の一族たるくノ一さんがいたのでナゾナゾを出してみた。

「さて今日は何の日でしょうか?」

「え?! なんだろ!」

「実はですね、今日は僕の誕生日です」(なんか下さい)

「ええ! 本当ですか! うわー!」

意外と反応が大きい。

てっきり。そうなんですかと軽くスルーされると思ってたのに。

これは何かしらプレゼントを期待してもいいのではないでしょうか!(なんか下さい)

「偶然ですね! 私も今日が誕生日なんです!」

「まじすか!」(何もやらない)

「12星座中、最も忌み嫌われてる蠍座の女だったんですか!」(なんか下さい)

「いや、同じでしょ同じ。私のが一つだけ年上ですけどね」

うぬ。

どうりで何かしら同じ闇属性な人間だなと思ってた謎が解けた(何もやらない)

なにもくれそうにないしよしんば貰ったら返す必要が生じるし、このままでは黄昏流星群が降ってきそうなのでそうそうに話を打ち切ってバイト業務に励んだ。

流星群というか既に堕ちた地上の星なんだけど。

でもまだ飛べるもう一度、宙に飛べるはず。

その為の準備は着々と地道にコツコツ積み重ねてる。

スーパーの品出ししてると客から味噌の場所を聞かれる。

味噌ぐらい探せと言いたいのを堪えて案内するも普通の味噌ではないとダメ出しされる。

減塩か減塩味噌が欲しいのか! それなら我が家にあるよ!

なんか田楽味噌とかいうやつらしい。

よく知らないけど具材が将棋の駒だったりするのだろうか。

あまり詳しくないのでくノ一さんに客を任せて品出しに戻る事にする。

いつも通りの時間が過ぎて誕生日は終わった。

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11月某日その3

 

我が家にようやくおからパウダーが届いた。

おからパウダーとはおからを乾燥して粉状にしたもの。

それ自体は味がないので、何にでもふりかけて食べれる。

ダイエット効果が高く痩せ菌が増えるとされている代物。

今は凄まじい人気でなかなか入荷されずに、一か月以上待ってようやく届いた。

一日にスプーンひとさじでいいのだけど、こういうものは継続してジョジョに波紋のように効いてくるものなので、今はまだ劇的な変化はない。

子供の為に買ったのに、届いたタイミング的に自分の誕生日を自分で祝って買ったプレゼントみたいになってる。

 

肥満気味の子供が痩せたら「買って良かった」になるのだけど。

まずは親が見本を見せるべきであり、親は黙って背中を見せていればいいというけれどい、この場合は黙って背中じゃなくお腹を見せるべき。

というわけで毎日スプーン一杯を珈琲に混ぜたりして食べてる。

仕事で家にいないときはスプーン一杯分を袋に入れて食べてる。

早く結果が出てほしい。

11月某日その4

次男が風呂場より体中から湯気を上げながら裸で出てきた。

もうお年頃なので、いつもはきっちりパジャマに着替えてから出てくるのに。

バスタオルを引くと、尻だけ上げてうつ伏せに倒れこむ。

目がいってる。

右腕が機械的に軽くけいれんしてるように見える。

「おい!」と声かけるもいまいち反応がない。

嫁が異変に気づいてまた大声を上げる。

「お前、ケツ毛見せて何してんねん! 大丈夫なんか!」

言い方。

言い方を考えろ。

思春期だし本人はそこに毛が生えてるなんて毛程も気づいてないだろうしなんて言い方するんだ。

しかし、その呼びかけには反応して「大丈夫や」と立ち上がって脱衣所に戻り着替え始めた。

よほどそんなとこに生えてる毛を見られたくないようだそりゃそうだ。

「お前、父さんより大きいやんけ!」

言い方。

言い方を考えろ。

誰もが悲しい気持ちにしかならない発言はやめろ。

パパはもう飛べないぞ。

すでに子供は父を超えていたのか。

いいけど別に。硬度とか他の物差しもあるし。

そてはさておき、

何かしら原因があるのかと、風呂に入ると熱湯だった。

お前はなにかのCMでもする必要性があったのかというぐらいの熱湯風呂だった。

熱性痙攣というやつだろうか。

完全に脱水症状でのぼせていた。

後日、病院で精密検査してもらうとてんかんの可能性を示唆される。

まだMRIとかいろいろ調べてもらってる最中なのではっきりわからないけど。

ただの熱湯風呂でのぼせてただけだと思うのだけど。

これは次回まで持ち越し。

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11月某日その5

 

買って良かったもの。

持久力を上げるドラッグを買った。

ドラッグと言うのかカテゴリが分からないけど、持久力が数倍に上がる優れもの。

いってみれば麻酔で感覚を鈍らせるものなので、自分より相手の為のもの。

ほぼ使わないのだけど、何かしら気の迷いで嫁とモーテルに行く時に何度か使用した。

さすがに家に置いとけないし人に見つかるわけにはいかない代物なのでカバンの中の二重チャックの奥深くに眠らせている。

あまりに眠らせていたので存在を忘れていたけど、それを激しく思い出させる事件があった。

そう、事件といっていい。

何しろ危うく逮捕されそうになったのだから。

まもなく日付が変わろうかという、時間。

つまり我々闇の一族からすると最もパフォーマンスが上がる時間。

出勤すべく愛車を駆って会社に向かっていた。

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後方からゼブラ柄の車が赤い光で威嚇してくる。

シャアか?

「その車止まりなさい」と、なぜだか停車を求めてくる。

何故なのか!

速度も守ってるし信号も守ってるのに何も違反してないのに!

もしかして無意識のうちに人を撥ねてたのだろうか知らない私は何も知らない記憶にない!

何も悪い事してないので逃げる必要もなくちょうどいい駐車スペースのある場所までランデブーしてあげる。

「後ろのナンバーを照らす豆球が切れてますよ」

まじか!

たしかそれは車両の整備不良という罰則が適用されたはず!

いくらだいくら渡せば見逃してくれるんだ!

てかそんなので切符きる気かその程度ならぽっぽやでも切符切ったりしない!

「すいません気が付きませんでした。教えてくれてありがとうございます。ではでは」

立ち去ろうとするも下車を促されパトカーに乗るよう言われる。

「豆球は明日にでも交換して下さい。それとついでなのでいくつか職質させてもらいます」

「車の中を見せてもらいますね」

「所持品を確認させて下さい」

「財布の中も確認させて下さい」

なにがついでなのか。

何この犯罪者扱い。

いやいいけどね何も怪しくないし。

ただ内ポケットにおからパウダーが一袋あるだけ。

おからパウダー。

白い粉状のものが内ポケット。

・・・・・・・まずいのではないか。

いやおからパウダー自体は味がないのだけど。

非常にまずい気がする。

「ポケットには何も入ってませ「何もありません」

ポリスの質問に食い気味に答えてしまう。

何もありませんは「何も犯罪的なものはありません」の略称であり省略言葉。

今の時代は何でも省略して短くして会話するものだし!

「いちおう、確認させてもらいます」

なんだよ一応って!

無いって言ってるじゃん!

てかなんでこんな職質されなきゃいけないんだ!

「いやあ、そんな怪しい運転してました? なんでなの?」

「怪しいわけではないです。豆球が切れてるし、他府県ナンバーでもあるので念のためにやってるだけでして、お時間とらせて申し訳ないです」

大阪で奈良ナンバーがそんなに怪しいのか。

もう嫌だ大阪に帰りたい!

うまく質問してポケットの中身を調べるのに内ポケット以外を服の上からぱんぱんと叩くという適当なものし成功して胸を撫でおろす。胸ポケットは撫でないで下さい。

まま、他に怪しいものないしこれでクリアーだな整備不良の切符を切る気配も無いし早く仕事に行きたい。

大丈夫、他に怪しいものなどない。

はず。

いや。

アレをカバンの中に入れたままな気がしてきた。

非合法なものではないけれど。

ないけれど!

「早漏防止スプレー」というものが世の中にありまして。

それはまあ海外製だったりするわけで。

箱には日本語じゃない表記。

あんまり詳しく説明したくないから簡略説明で終わり。

ほぼ使わないというか使う機会が無く、たまに嫁とホテル行く時に使ってるだけで家に置いておくと子供の目に止まると困るのでカバンの奥深く二重底に封印していた気がする。

よくない。

非常によくない!

何コノ薬品て怪しまれるし、身の潔白を証明する為に説明するのも嫌だ!

違法じゃないけど怪しいというか妖しいもので間違いない!

いや慌てるな。慌てると何かあると思われる。

大丈夫、二重底に封印していたはず自分でも忘れるぐらいの場所だ見つかりっこない!

まずい動機がする心音が16ビートdふえるぞハート燃えつきるほどヒートしてる不自然な立ちポーズとかして怪しまれそうだ頼むからもう解放してくれ!

やめろカバンの中を丹念に見るな誰もが不幸になるぞソレより先はパンドラの箱だぞどんな悪魔が飛び出してくるか分からないんだぞ!

「これは・・・・・・・」

やば! 見つけたのか悪魔の実シリーズ最悪と言われるものを!

「ゴムゴムの身」と対をなす「ノロノロの実」を見てしまったのか!

「財布ですね。一応中身も確認します」

財布かよ!

無駄に溜めんじゃねーよ!

そして中身は確認する程も入ってないから!

「この免許証はあなたのですか」

財布の中にあるカードまでいちいち確認していくポリス。

何か変な会員カードが混じってないか暫時心配したけど、何もないはず無駄なカードは持たない主義だから。

「!!!」

ポリスが体をビクっとさせて他二人のポリスにアイコンタクトを送る。

なんなんだ。

急にテンション上げるな。

入ってないからね変な会員証なんか無いから!

「これは何ですか!!」

夜なのに大声出すなよ。

「この筒状のものは何ですか!!」

何ってストローだよ。

見たことないのか。

それはつまりシャボン玉を作る道具であって、そこそこ大きいのが作れる逸品なんだ。

シャボン玉作る以外に使い道なんてないのに、なんでそんなに声張り上げてるの?

もしかして最近話題になってる、ストローのせいで海が汚されて魚に被害が出てるだろと文句が言いたいわけなのか。

ははーんさては魚君さんに憧れてるんだな!

それでその帽子なわけね魚君さんみたいな帽子だなーって思ってたんだ。その帽子はそゆわけねなるなる。

じゃーそこは「何ですか」じゃなく「ギョギョ!」って言わないとダメじゃん。

まだまだだねオジさん。

などと。

妄想する余裕などなく。

まさかの伏兵にただただ翻弄されるのみ。

もはやハートはオーバードライブ。

違うんだ。

それは娘からのプレゼントなんだ。

なぜ分からないのか!

落ち着け何も悪くない悪くない俺は悪くない誰も悪くない世の中は平和だ。

平和というよりおからパウダーとノロノロスプレーな役満でリーチな状態だけど。

でもリーチなだけで上がってはいない振込まなければ大丈夫!

捨て牌を間違わずうまく切り抜けてしまえば流局だ!

「娘からの誕生日プレゼントだ」

などと、説明して信じてもらえるのだろうか。

いや本当の事だけどストロー所持の理由としては弱い気がする!

なにかこう、うまい理由はないかなsiriさんグーグル先生!

とにかく。

とにかくだ。

こうなると胸ポケットの「おからパウダー」が発見されなかったのは僥倖と言える。

白い粉とストローとか最狂最悪地獄のコンビじゃん!

死ねるよ!

社会的に5回は死ねる!

いくら「それはおからパウダーだから!」と説明しても、こんな辺境を巡回してるポリスが粉を舐めて「これはマリファナです」とか「これはおからパウダーです」とか判断できるとは思えない塩や砂糖ぐらいしか分からないに決まってる。

少なくとも塩対応されて署で話を聞こうと連行されてしまう!

鑑識にておからパウダーと分かったとしても何故だか非合法なものとすり替えられてしまうという話は小説やドラマなどで何度か目撃した!

ここで、何とかここで解放されないと当ブログは更新されないまま放置され管理人は留置されてしまう!

5秒。

5秒という永遠より少し短い時間で理由を脳内検索したけど何もヒットしなかった。

ノーヒット。

それならもう直球勝負しかない。

打てるものなら打ってみろ重いじゃなく想いのこもった直球だ!

「誕生日プレゼントてwww」

「何が面白いのですか」

わざとやや怒った感じに言ってみる。

内心バクバクだが、いいように蹂躙されっぱなしじゃ署まで連行されてしまう怒るべきシーンでは怒るべきだし、二段も三段も高い立ち位置で喋る相手を少しは低い立ち位置に戻す効果もある。

そして何よりパーソナルスペースへの侵入を躊躇わせて胸ポケットを守る効果がある。

「確かに誕生日だったようです」

免許証を確認していたポリスが助け船を出してくれる。

なぜだかとってもガッカリしたように船の錨を上げて他二名の怒りを鎮めてくれる。

いや、その船に迂闊に乗り込むな罠かも知れない泥船かも知れない。

「じゃあコレはなんですか!!」

お前!

いつの間にパンドラの箱を開けたのか二重底を突破しやがったんだ!

それはダメぇえええぇぇぇぇぇぇ!!!

それ弄っちゃダメなヤツゥゥ!

色んな意味で弄っちゃダメなやつぅぅぅうう!

「あわあわあわ・・・」

「説明できないのですか?!」

「説明しなくちゃダメなんですか任意ですか」

「説明してもらわないと困りますね」

もう困ってるよ! 俺が!

「・・・言うなればそうですねバイアグラ的なものです」

「バイアグラには見えませんけど。スプレーのように噴出するものですよねこれは。バイアグラとは違いますね」

察しろよ!

お前は人を隅っこにまで追いつめるタイプなのか!

そんなんじゃいい死に方しないぞ!

いい死に方なんてあるのかどうか知らないけどさ!

仕方なく恥をしのんで説明する。

使い方や販売所、効果の程まで全部ゲロさせられる。

さてはお前ら買う気まんまんだろ。

言っておくけど、物凄く大げさに言ってるだけで、言い忘れたけど、使った場合のデメリットだってあるんだぞ使ってからそのデメリットを体感するがいい!

なぜだか最後はみんな笑顔で別れるという和やかさ。

「ところでどこの署の人達ですか?」

「署じゃなく本部の者です」

本部かよ! こんなとこまで暇なのか!

「本部なら私が〇〇〇〇な時に〇〇〇〇して会う事も無きにしも非ずなので、その時はヨロシク」

蹂躙されっぱなしで多少ムカついてたので、最後に嫌がらせしておいた。

「それなら最初に言って下さればよかったのに」

ヤなこった。

どうせこの後でスプレーネタで盛り上がって帰ってからもネタにしてこき下ろす気だったんだろ。

それならこちらにもワイルドカードがあるんだ不当な扱いしたら跳ね返ってくると伝えたかっただけ。盛り上がるな秘密にしとけそういう義務があるはずだ!

言うなよ! 誰にも言うなよ! 私がスピードスターだと言うのは忘れも今すぐ忘れろ!

もうこれはスピード違反ですというネタも禁止!

というわけなので、今回の記事の内容は忘れて下さい。

かしこ。

終わり

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